Japanese

会長挨拶

今回の大会テーマは、両学会大会・総会共通で、
Building bridges for a new start beyond borders
第7回国際自殺予防学会 アジア・太平洋地域大会 大会長
齋藤 友紀雄
日本自殺予防学会理事長・日本いのちの電話連盟理事
このたび、第7回国際自殺予防学会アジア・太平洋地域大会(7th Asia Pacific Regional Conference of the International Association for Suicide Prevention)を東京で開催することになりました。
国際自殺予防学会[正式名称:International Association for Suicide Prevention(IASP)]は、1960 年にウイーンの精神医学者Erwin Ringel教授によって創設されました。筆者は1979年にカナダ・オタワ市で開催された第10回総会において、稲村博教授(筑波大学、当時)とともにリンゲルと会った折に、日本での学術大会開催を要請されました。しかしその当時は、国際自殺予防学会のカウンター・パートナーである日本自殺予防学会の組織が小さかったことを理由に断った経緯があります。
その後、90年代になって、日本自殺予防学会の創立者で事務局長でもあった増田陸郎教授(昭和女子大学)が引退し、稲村教授が後を引き継いだものの、1996年に60歳で亡くなりました。しばらく事務局長が不在でしたが、2005年に張賢徳教授(帝京大学)が事務局長に就任、組織の立て直しを図り、会員数も飛躍的に増加して今日に至っています。この間、事務局を代行したのが日本いのちの電話連盟です。連盟はごく初期のころから日本自殺予防学会と連携し、全国各地で自殺予防シンポジウムを開催し、2001年からは国の自殺対策に参画し、日本自殺予防学会と共催のシンポジウムについても予算を託され大きな役割を担っています。
今回の国際会議は、IASP日本代表で学会常務理事の河西千秋教授(札幌医科大学)が大会事務局長となりました。今回の大会は特にアジアという視点が重要になると思われます。ことにアジア地域の自殺問題の背景には、人口規模はもちろん、多様な文化的、社会的背景があり、国際的に大きな関心が持たれています。2016年は、わが国が自殺対策基本法を制定して以来、満10周年にあたり、この大会は、日本の自殺対策をさらに推進する契機となることが期待されるでしょう。
多数の参加を願いつつ、各方面からのご支援を仰ぎたく存じます。大会は、第40回日本自殺予防学会総会との同時開催ですが、同学会の詳細は以下のリンクからご参照いただければ幸いです(http://www.jasp.gr.jp)。
第40回日本自殺予防学会総会 会長
河西 千秋
日本自殺予防学会常務理事・札幌医科大学大学院医学研究科精神機能病態学教授
このたび、第7回国際自殺予防学会アジア・太平洋地域大会(7th Asia Pacific Regional Conference of the International Association for Suicide Prevention)事務局長、および同時開催となりました第40回日本自殺予防学会総会会長を拝命いたしました。
日本で国際自殺予防学会大会が開催されるのは、世界大会とアジア・太平洋地域大会を含めて今回が初めてのことです。世界大会では、各国の王族や国家元首が学会でスピーチを行い、首長がレセプションを主宰されるなど、自殺予防のイベントが非常に重要視されてきました。日本では、2006年に自殺対策基本法が、そして07年に自殺総合対策大綱が閣議決定され、国全体で自殺対策が実施されてきましたが、最近では、自殺予防対策が国やメディアで取り上げられる機会がやや少なくなり、対策の手が緩んでいるように感じられることもあります。しかし、いまだ、日本の自殺率は世界で最悪水準のままで留まっています。広く、アジア・太平洋地域の自殺問題は、近年、たいへん注目されるところとなっています。それは、この地域の人口が爆発的に増え、自殺者数の莫大な数の問題があります。また、この地域における多様な民族・社会・文化、そして心性とメンタルヘルス、ないしは自殺の関係性というところに関心がもたれています。そのような中、国際自殺予防学会を、アジアの一大都市である東京で開催することには大きな意義があります。また、日本国内にとっても、自殺対策基本法施行10周年の年にあたるこの2016年に記念すべき第40回日本自殺予防学会を開催することは、これまでの自殺予防対策を振り返り、これからの自殺予防対策を思考するまたとない良い機会となることでしょう。