第68回日本病院学会
学会長 山田哲司
石川県立中央病院 院長
第68回日本病院学会は、石川県金沢市において、2018年6月28日(木)、29日(金)の2日間、石川県立音楽堂、ホテル日航金沢、ホテル金沢などにおいて開催させていただくこととなりました。石川県での本学会開催は初めてのことであり、改めてその責任の重さを感じております。全国からお越しいただく皆様にとって有意義な学会となるよう職員一同、鋭意準備を進めております。
わが国は、1961年に誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険制度が実現して以来、医療に携わる人々(医療人)の真摯で献身的な努力に支えられ、投入資源が必ずしも多くない状況でありながら、WHOからは医療の質や平等性という観点からみて極めて高い評価を受ける保険医療水準を達成してきました。しかし、世界で例を見ない急速な少子高齢化の進展、経済成長率の低下、国民生活における環境変化などに直面し、医療・介護費を含めた社会保障費は増大し、国家予算の1/3以上を占めるようになっています。高齢者の人口は2025年を過ぎても増え続け、これに伴って医療・介護費用もさらに増加していくと見込まれています。しかし、止まるところのない医療・介護費用の増大は、社会の崩壊も招くことにも繋がりかねず、社会構造や経済情勢などにあわせて医療制度改革を含めた社会保障制度の改革が急務となっています。
2018年度には国民健康保険財政の都道府県単位化、新たな医療介護計画ならびに医療費適正化計画の実施、診療報酬改定(介護報酬との同時改定)、新専門医制度の開始、医学部教育の見直しなど、医療分野だけでも幅広い制度改革がなされることが決まっています。しかし、医療においては、生命に対する尊厳、患者さんへの思いやり、医療人としてのモラルや博愛の精神などは、変わってはならないもの、いや変えてはならない使命と言えます。医療制度がどのように変わろうと、医療人に課せられたこれらの使命を果し、さらに長年培ってきた質の良い医療を今後も提供し続けるために、すべての医療人が互いに協力し、英知を結集することが求められています。
そこで、今回のテ―マを「医療制度ルネサンス-未来を見据え、今を創新する-」とさせていただきました。すべての医療人が一同に会し、知恵を出し合い、議論を戦わすことができる本学会の特徴を生かし、「実り多い情報交換の場を作り上げる」という思いで計画を進めております。
また、学会の合間には、加賀百万石の武家屋敷、茶屋街、兼六園、金沢城などの人気の観光スポットに加え、新たな想像力を作り出した21世紀美術館、金沢駅東口のもてなしドームと鼓門、鈴木大拙館などの新観光スポットもございますので、是非とも楽しんでいただきたいと思っています。
2015年3月に北陸新幹線が開業して以来、金沢へのアクセスは極めて便利になりました。この機会に加賀百万石の歴史と文化、北陸の海の幸、山の幸を満喫していただきたいと思っています。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。